胡弓新境地・・・椰子殻胴板クーチョー製作ギャラリー

横長 完成全体横から.jpg2011.10.3椰子殻胴の板クーチョー完成

完成やしのみの胴.jpg沖縄胡弓クーチョーはかつて、椰子の実の殻を胡弓の胴に使用したという。それを再現。

横長 完成正面.jpg正面か見た椰子殻胴の板クーチョー

伝説の椰子の胴を使用したが、これまで多くの胡弓を製作する中で見出したアイデアを取り入れたクーチョーです。それは、クーチョー・胡弓の新境地のテーマとして、ソロ演奏が可能であること、大衆的な多くのレパートリーを演奏可能なこと、豊かな倍音を持つことです。そのためA、D,Gの調弦の大胡弓に近い52センチの弦長と、椰子殻の胴体に表板・裏板を張り、魂柱を活用するという技法である。魂柱の歴史は、バイオリン属の製作技術の重要な柱となっているが、愛知県の岩倉市の船橋楽器資料館に数百年前のアジアの少数民族の素朴な擦弦楽器に胴体の裏から表の板に、木の枝を貫いている楽器が展示してあり、もしかすると、アジアの少数民族の楽器文化として魂柱の原型が伝承されていた可能性もある。高音弦は、絹糸を使用、しかし、1.2弦は音程が、絹の特性を生かす範囲ではなく、重量が足りないので、金属弦を使用。絹の弦は、高音域では、非常に美しく繊細で、ガットや金属では表現できない音色を持っている。しかし、その魅力も、楽器全体に響き渡り倍音を引き出す力は、音域と張力の範囲を持っている。

椰子のみ胴体の加工.jpg椰子殻の上下の棹の受け口の2箇所に竹を張り補強胴体補強の竹.jpg張り付けた竹の素材。椰子殻の曲面に適した湾曲をもつ竹の側面を見つけるのにも苦労します。しかし、ランダムな椰子殻の曲面に近いカーブの竹の側面も見つかるものです。こせを、前の写真のように張り付けました。椰子のみ胴体の加工2.jpg棹の受け口の加工。裏板の加工.jpg桐の裏板の加工。裏面を彫りみます。中央部は厚く、淵は薄くします。うら板の加工2.jpg裏板が大まかに完成。
表板1.jpg桐の表板の加工。三日月型のサウンドホールを開けました。力木の接着.jpg表板に力木を接着します。表板裏側力木.jpg表板の裏側。桐板は柔らかいので、魂柱のあたる部分を塗料で硬く補強します。胴体と板.jpg胴体と表板・裏板を合わせ、形をそろえます。胴体板の接着.jpg表板と裏板と椰子殻胴を接着します。
棹の付け根.jpg棹の付け根。椰子殻胴の曲面に合わせて仕上げます。棹と胴体の隙間.jpg胴体との接触部分の特に左右に隙間に、薄い紙が入らないように隙間をなくします。隙間があると倍音共鳴が減少し、弦の響きが楽器全体に共鳴しません。胴体上.jpg棹の受け口。胴体下.jpg棹の受け口下部(中子先受け口)上駒と根尾の象牙素材.jpg象牙の上駒と根尾受けの素材
胴体と棹の接続.jpg棹を胴体に接続根尾の貼り付け.jpg表板に根尾の位置の弦の通り道に象牙を張り補強。これがないと、弦が表板の柔らかい桐に食い込んで行きます。棹の曲面・駒の曲面に応じて、2弦の通る部分を高くします。駒の加工.jpg駒は、弦を張り棹と胴の高さを比較して作成します。糸巻き.jpg今回三線の棹と糸巻きをベースにしましが、上の三線の糸巻きの糸口が細すぎて、低音弦のA弦、第二弦のD弦の張力に耐えることができず、折れてしまいました。そこで、三味線の糸巻きを使用、先端部分の三線の糸巻きを接続しました。強い回転モーメントがかかるので、内部に3本の竹ひごを通して補強して接続しました。接続面を美しく仕上げる技量は未熟で、でこぼこになっています。完成糸巻き.jpg完成した天神。沖縄の三線の天神をそのままベースとしましたが、糸巻きの調整・加工と、3弦の間口が狭いので広くした部分もあります。
完成上駒と棹の曲面・駒.jpg三線の棹に、黒檀の指板を張り、曲面仕上げをした棹と、象牙の上駒。完成下からの外観.jpg下から見た、胴体・駒。駒の曲面にあわせて、根尾の受け口の象牙加工をしてあります。完成胴体側面.jpg横から見た胴、棹、駒。この高さが演奏しやすいです。完成胴体正面.jpg胴体正面。三日月型サウンドホールと拭き塗料を施してあります。完成根尾と駒.jpg表板の曲面。駒。
完成胴体表.jpg表板の曲面2.完成胴体裏面2.jpg裏板の曲面完成魂柱.jpg三日月型サウンドホールと魂柱完成表板力木.jpgサウンドホールから見た力木。完成棹の付け根正面.jpg棹と胴の付け根

完成棹の付け根2.jpg棹と胴の付け根2
完成駒と胴・高さ.jpg駒の位置。魂柱と駒の位置は数十回余り微調整します。三の糸の第7からオクターブ以上のポジションで魂と駒の関係での倍音が豊かになり、美しい響きに変わって行くのが魅力です。完成魂柱.jpg魂柱の奥の黒見えるものは、黒檀の棹の中子先の部分です。これが、魂柱に接触してしまい、魂柱をこれ以上中央方向へと移動できなくなりました。やむを得ず、再度棹のこの部分をえぐるように削り、魂柱を数ミリ中央部にずらしました。その結果、音の輪郭がくっきりとしてきました。完成全体横から2.jpg完成した椰子胴板クーチョー完成全体正面.jpg完成した椰子胴板クーチョー正面。